Copyrighted:アイアンマン 2007年10月号 インタビュー

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オリジナル: 「ゆでたまご嶋田先生と中井先生にインタビュー!」『アイアンマン 2007年10月号』フィットネススポーツ、2007年9月12日、雑誌11497-10、6-10頁。

[P 6]

日本人は筋肉が嫌い。日本人は筋肉に嫌悪感を抱いている。日本人はボディビルを笑う。ボディビルは日本人に不可解……と言うのが編集部の持つ日本の国民への偏見であり、被害者意識であり、なぜ?という大きな疑問でした。

ところが、ビリーズ・ブート・キャンプのDVDが大当たりしたビリーが6月に来日し、連日こぞってマスコミで取り上げられました。そう言えば『キン肉マン』は長年にわたって国民的アイドルとも言えるほど老若男女に浸透しているし、意外に日本人は"筋肉に憧れてる?"と思い直したのです。

で、編集部はひらめいたのです。『キン肉マン』の生みの親である、ゆでたまご嶋田先生と中井先生に"日本のボディビルを盛り上げる"ために先生方に一肌お脱ぎいただき、先生方の"筋肉観"を語っていただくことで、ボディビルを一気にメジャーにすべくご提案をいただけないかとお願いしたのであります。ちなみに、今回のインタビューを実現させてくれたのは『キン肉マン』

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フィギュアの制作を行った(株)CCP様、東映アニメーション(株)様、そして(株)集英社様です。さらに言うと、嶋田先生も中井先生もボディビル通です。ロニコーとかドリアンとか、はたまた"デカい!" "キレてる!"なんてコンテスト会場のあちこちで飛び交う"業界用語"までインタビューの途中でたびたび出てくるほどのマニアだったのです。

もちろん、読者の皆様の中には"編集部がやろうとしていることは邪道だ!編集部こそ、ボディビルというスポーツを冒涜している!"というご意見をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。しかし、そこはグッと堪えていただき、みなさんの筋肉と同じように柔軟に、寛容に捉えていただき、私たちは大きな可能性にかけさせていただきたいと思います。編集部だって筋肉を、ボディビルをメジャーにしたいのであり、ボディビルダーの社会的地位を高めたいとずっと試行錯誤を繰り返してきたのですから。

そんなわけで、賛否両論、悲喜こもごも、読者のみなさまに有無も言わせず、アイアンマン編集部は『キン肉マン』生みの親であるゆでたまご嶋田先生と中井先生の両先生にインタビューをさせていただきました!悪しからずご容赦いただき、これは"嬉しい!"と喜んでいただければアイアンマン編集部、至福の至りにございます!

[P 8]

目次

実はものすごくボディビルマニア、その1

中井 あっ、アイアンマンの最新号じゃないですか。ときどき買って見てるんですよ。ありがとう。すごいですよね、この表紙の人も。これって誰?へぇ、スキップ・ラ・コアって言うんですか。なんだろか、この背中。モコモコだもん。

そういえば、オリンピアで連覇し続けたドリアン・イェーツは今はどうしているんでしょうか?彼、全盛期はすごかったですよね。でも、その後にオリンピアを連覇し続けたロニー・コールマンはもっとすごかった。強烈なインパクトがありましたね。

嶋田 そうそう、ロニコーはすごい。DVDも見たけど、信じられないよ、特にあの背中はね。ボディビルダーって、私たちには考えられないような身体をしているから、よほどたくさん食べるのだろうと思ったら、意外に1回の食事量は少ないんですよね。

――おふたりはかなりのボディビル通ですが、ネットのインタビュー記事で、嶋田先生が一番最初にお描きになった『キン肉マン』は小学生のときだったと知りました。その頃から中井先生と嶋田先生はおふたりで『キン肉マン』を育ててきたわけですが、小さい頃から筋肉がテーマのひとつになる漫画をお書きになったのは何がきっかけだったのでしょうか?

嶋田 やっぱりプロレスの影響ですよ。それとブルース・リーです。特にブルース・リーのバリバリに割れた腹筋や、バキバキに絞れた身体には憧れましたね。その一方で、プロレスラーの大きな肉体にも憧れていて、結局のところ、原点は"未知なる筋肉"への敬慕だったんです。

当時のレスラーの身体もすごかったですが、今のレスラーはさらに見栄えも迫力も変わって、彼らに憧れる子供たちは多いと思いますね。

中井 子供の頃は強い男、すごい身体の男にやたら憧れますからね。話は変わりますが、先日、相方(嶋田先生)の腹を見てしまいまして……驚きましたよ!だって、腹が出てないんですもん。もしかしたら、微妙に割れてたかもしれません……。ちらっとしか見えませんでしたが、それだけでもすごかったです!

嶋田 はい、もう少しです。やっぱり目指すはシックスパックですから(笑)。いえね、私はアイアンマンでも連載しているお宮の松さんに情報をたくさん流してもらってるんですよ。ときどきサプリももらってます(マジ)。

――先生方は生のボディビルダーをご覧になったことは?

中井 生でコンテストを見たことはありませんが、現役のボディビルダーは目の前で見てますよ。実はボディビルダーの方たちに何度かお願いして事務所に来ていただき、ポーズをとっていただいて、撮影をしたことがあるんです。『キン肉マン』も想像だけでは描けない部分がありますから、実際に、そのポーズをとっていただき、どこの筋肉にどんな力が入って、その筋肉がどんな形になるのかを確認したかったからです。かなり無理なポーズもとっていただきました。例えば『キン肉マン』の中の"キン肉バスター"のポーズも実際にやってもらいました。イスを使って、見えないようにスタッフの方にも手を貸してもらってね。そうすると、"ああ、こんな部位がこんな形になるんだ"ってことがわかるんです。

私に言わせたら、ボディビルダーのみなさんはプロ意識がものすごく高い。だって、少し時間が経って筋肉のパンプが弱くなってくると、モデルになってくださったボディビルダーは必ずこう言うんですから。"ちょっと待って下さい。筋肉をパンプさせますから"って。

[P 9]

で、実際にちょっと休憩を挟むと、ボディビルダーはパンプアップのための運動を行うんですね。すると、私たちが見ている間に、みるみるうちに筋肉がパンプアップしてきて、まるで別物の筋肉のようなサイズと形と表情を作り出すんですから。アレには驚きました。さすがだと思いましたね。

嶋田 私も生で見ましたよ。ゴールドジムの10周年記念パーティーにご招待いただきまして、そのときに、記念パーティーの中のイベントのひとつにボディビルダーによるポージングがありましたから。間近も間近、至近距離でボディビルダーのポージングを見せていただきました。私の反応ですか?最初は笑いました。そして、間もなくして引き込まれて、食い入るように、選手の筋肉を見入ってしまいました。

笑うという反応は決してネガティブなものじゃないんです。信じられなくて、興味があるから笑うんです。だって、見たこともない、驚愕に値するものを見せられたときって、どう反応していいかわかりませんもん。子供がそうでしょう。ちびっ子たちがすごい身体のレスラーを見ると、必ず彼らは"すげぇぇっ!"と言いながら、まずは"笑う"という反応を示します。そして間もなくすると、真剣な表情で、目をキラキラさせながら、食い入るようにしてレスラーを見つめるんです。初めて生でボディビルダーを見たときの私の反応は、まさにちびっ子たちの反応と同じでした。

ボディビルダーをメジャーにするために

――ビリーズ・ブート・キャンプDVDのビリーが来日し、私たちも"日本人は意外に筋肉が好きじゃん"と認識を改めたところですが、ボディビルを日本でメジャーにするためにはどんなことが必要だと先生方は思われますか?

中井 やっぱりメディアをもっともっと利用したらいいと思いますね。もっとアピールして、ボディビルというスポーツはすごいんだ、ボディビルダーのフィジークはマジもんだってことを知ってもらわなきゃ。そうしているうちに映画などの話も出てくるでしょうから、積極的に出ることだと思います。アメリカがそうでしたでしょ?アーノルド・シュワルツェネッガーがそうだったように、もともとボディビルダーがハリウッドのトップスターになることは実際にある話であり、それは日本でも充分に可能性があることだと思いますね。世間に知ってもらい、認知してもらうためにはそれなりの宣伝活動が必要ですし、積極的にアピールしていくことだと思います。

嶋田 日本人は筋肉は嫌いじゃないと思いますよ。例えば格闘技界なら、美濃輪選手田村選手が素晴らしい肉体を作り上げてきます。彼らの身体は、特に子供たちに憧れられるんです。そりゃ、メジャーになるまでに辛い時代もあるでしょう。『キン肉マン』がそうだったと思います。初期の頃の『キン肉マン』を知っている方はご存知でしょうが、出たばかりの頃の『キン肉マン』はどちらかというとお笑い系だったんです。でも、だんだん真剣みが増し、かなりストーリーがシリアスになってきました。最初は『キン肉マン』を見て笑いがもたらされることのほうが多かったと思いますよ。ところが、それがだんだんマジな話になっていき、ファンのみなさんは真剣味の増すストーリーにのめり込んでいったのだと思います。すべての要素を漫画と一緒にすることはできないでしょうが、まずは知ってもらうことですよ。ひとたび世間の認知度が高まれば、ボディビルというスポーツも憧れと尊敬が伴って、メジャーになっていくと思いますね。だってそ

[P 10]

うでしょ、これはのめり込みますよ。

中井 それと、コンテストではアレでしょ、独特な応援があるんですよね。

嶋田 そうそう、ゴールドジムのイベントは、デモンストレーションだったんですが、会場からは"デカい!" "キレてる!"というかけ声と言うか、応援がひっきりなしにありましてね。あの世界は極めて独特ですが、ハマると面白いんですよ。ほかにもどんな応援の仕方があるのか、どんなタイミングでそれらの言葉がかけられるのかを知りたくなります。そういうことって、一般の人たちを巻き込むきっかけになるんじゃないでしょうか。タイミングに関して言うと、素人がやたら目たら、大声を張り上げるだけじゃダメなんです。ポーズによってカットが強調されたり、迫力やバルクが強調されたりしたときに、ドンピシャのタイミングで声をかけなきゃいけないんですよね。

実はものすごくボディビルマニア、その2

――ドリアンやロニーを知っていらっしゃるのであれば、彼らの食事は決して"味を最優先したものではない"ことをご存知だと思いますが、先生方がボディビルダーの食事を見て"これは一度試してみたい!"と思うものはありますか?

嶋田 実は私、結構試してるんですよ。鶏のささみをボイルしたり、外食に行っても鶏の胸肉は皮付きであれば必ず皮を取るようにしていますし、サプリメントもかなりたくさん利用しています。例えばBCAA、クレアチン、クエン酸、グルタミン、マカなどです。これらのサプリメントを摂取するようになって、日常の疲れが取れやすくなりましたね。プロテインも定期的に摂取してますよ。ジムにも不定期ですが通ってまして、サプリを充実させてから、筋肉痛が残りにくくなりました。

中井 すげぇ、マニアぁぁ~!やっぱりあの腹はマジもんだったんだ……。

嶋田 サプリもトレーニングもボディビル界の情報もお宮の松さんの影響ですから(笑)。

実はものすごくボディビルマニア、その3

――先生方が理想とされるフィジークとは?

中井 日本人で言うなら、山本選手がカッコイイと思います。バルクって言うんですか、アレがすごいし、やっぱり日本の選手の方たちにも海外の選手に見劣りしない選手が続々と出てきてほしいですよね。それもまた、日本でのボディビルをメジャーにするための方法ではないでしょうか。

嶋田 それと、格闘家の中にも、前述した美濃輪選手や田村選手は素晴らしい筋肉を作り上げていますから、彼らのような身体の選手は憧れますね。プロレスラーもそうですが、彼らは食事に人一倍の気を遣っており、本人たちは"大して気にしていない"と言いますが、それでも、一緒に外食に出かけると、炭水化物は少な目で、脂身は極力避け、明らかに"気遣って食事してるじゃない"という場面にたびたび出くわします。彼らは格闘家であったり、プロレスラーなわけですが、身体作りはトレーニングだけじゃなく、食事も大切なんだってことを教えられます。

海外の選手で言うなら、やっぱり"ロニコー"でしょ!もうたまらなく"信じられませんっ!"から。私のボディビルへのハマリっぷりを言うなら、むしろ私の方からお宮の松さんにお願いして、彼の腕を引っ張ってでもボディビルダーを見せてもらってるくらいです(笑)。


さすが『キン肉マン』の生みの親の両先生方です。筋肉へのこだわりは、編集部が想像していた以上に強く、インタビューをしながら、私たちはとてつもなく嬉しくなって、必死になって"笑い"を堪えておりました。確かに!感情が高まると、それをどう表していいのかわからなくなります。だから笑ってしまったり、あるいは笑いを抑えようとしてしまったりするのかもしれません。

先生方のお話を伺っているうちに、日本のボディビル界はこれからだっ!と明るい希望が湧いてきました。冒頭の言葉を改めます。日本人は実は筋肉が好き。日本人は筋肉に好意的。ボディビルは日本人社会に必ずや受け入れられる!

『キン肉マン』がそうであったように、現実の、生身の人間が行うボディビルは近い将来、日本でもメジャーになる可能性を大いに秘めているのでありますっ!

そんなわけで先生方のインタビューを終えた編集部は意気揚々と某所を後にしたのでした。ちなみに、カメラマン兼編集部員のアンは、インタビュー後に先生方の質問攻めに遭い……実はとてつもなく嬉しそうでした。嶋田先生、中井先生、お忙しい中、アイアンマンのインタビューに時間を割いていただきましたことを深く御礼申し上げます。また、この度のインタビューを実現させてくださった(株)集英社様、東映アニメーション(株)様、(株)CCP様にもこの場を借りて心より御礼を申し上げる次第です。

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