Copyrighted:G・馬場 VS ゆでたまご 16文インタビュー

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オリジナル: 「G・馬場 VS ゆでたまご 16文インタビュー」『フレッシュジャンプ』集英社、1983年10月23日、雑誌07865-10、14-15頁。

[P 14]

ゆで 今日は、あこがれの馬場さんにお会いできて、大変感激です。今、プロレスが大ブームなんですが、ぼくらの外からみたプロレスと、馬場さんのようにプロレス界のどまん中にいる人とのプロレスでは、色いろちがいがあると思うんです。そこで今日は、馬場さんにプロレスの新しい見方を教えてもらいたいと思ってきたんですが…。

馬場 うん、なんでもきいてください。

目次

あのね、レスラーは技の名前なんて、あんまり知らないんだよ。

ゆで それでは、さっそく本題にはいらせていただきます…。まず、技についてですが、バックドロップにしても、ヘソ投げと、ファンクJr. 流というかアメリカンスタイルとありますが、どっちが効くんでしょうか!? それと、技も今は、本当にたくさんありますけど、みた目にはジミでもこの技はスゴイ効くんだというのがあったら教えて…。

馬場 うーんその前に、あのね。レスラーは、あんまり技の名前とか知らないんですよ。日本のTVの解説者とかが、勝手に自分らでつけちゃうんだな。だから、ぼくらはあんまり知らないんですよ。

ゆで あっ、かえってレスラーの人たちの方が知らなくて…。

馬場 そう! たとえばシュミット流バックブリーカーってあるでしょ、あれを、ハンス・シュミットにきいてもシュミット自身が知らないんですよ。

ゆで アハハ…そうなんですか。でもそういうのは、困りますねえ。

馬場 うん、困るけれども、それが浸透しちゃってるし、本当の名前をいうと、こっちがまちがってるようなねえ。コブラツイストなんてアメリカでいっても、わかんないんだから。

ゆで レイスブレーンバスターをバーディカル[ママ]・スープレックスといいますよね。

馬場 うん、ブレーンバスターは通じるけどね。…で、なにが効果的な技かということではねえ。人間の体できたえられない所、脳天であり後頭部であり、ノド仏ね。そこを撃つのが、どんな形であれ理想的じゃないかと思うなあ。

技だって、病気といっしょだからね。

ゆで 以前は、コブラとかでギブアップを奪えたのが、最近はつなぎの技にかわってきてますよね。あれは、やっぱりレスラーが強くなってきたんですか。

馬場 それはね、病気といっしょでね。だんだん免疫ができてきてね、昔は力道山の空手チョップ一発で終わりと…。

ゆで 実際には、知らないんですがTVなんかで…強いですよねえ。

馬場 ボディスラム一発でも決まったもんですよ。それが、こういうふうに受身をとった方が、効き目が少ないとかね。そういった受身のとり方を練習するから、だんだん効かなくなってくるんだな。

ゆで レスラーの方がなれてくると…。

馬場 そう、だからこれ変な話、病原菌といっしょじゃない。

ゆで アハハ…

ラリアートで、オレをフォールするのは、むずかしいと思うよ。

ゆで 馬場さんは、ハンセンとの試合では、フライング・ネックブリーカードロップをだしませんが、それは、なにか理由があるんですか。

馬場 ハハ…よく、みてるなあ。それはね、おれの技とラリアートが似てるんですよ。ハンセンの場合は、腕力(うでぢから)でおしてくる。おれは、首を引っかけて体全体をつかって、相手を引っぱっておすという技なんだけども、おれが、かれにネックブリーカーを使っても、あんまり効かないっていうと変だけどやっぱり、やつも用心するだろうし…。

ゆで なるほど、似た技を使うから、それの受け身も、おたがいある程度は

[P 15]

知ってるみたいな…。

馬場 うん、そう。それと大事なことなんだけど、ラリアートは、確かにあの力で、まずノドにくるから、空手チョップをくったのと同じ衝撃があるの、それに加えて、あのままの力で後ろへひっくり返されるから、後頭部も撃つわけ。

ゆで はい、はい。

馬場 ロープに振られて、早く返るほど、その衝撃も大きいんですよ。おれなんかノタノタ返ってくるし背が高いから、ハンセンが下から上へ、伸び上がって突き上げるのと…。

ゆで ………。

馬場 逆に、上から下へ落とすのとの差で、力も半減しちゃうんですよ。だからおれには、ラリアートを一発くっても、効くには効くけど、それほどフォールされて、タンカで運ばれるほどには効かないということだな。

ゆで う~ん、奥が深いですねえ。

いいレスラーというのは、やる気とアタマの問題なんだな。

ゆで いいレスラーとそうでないレスラーとは、トレーニング方法とかもあると思うんですが、どこで差がでてくるんですか。

馬場 いいレスラーだということは、本当に気持ちの持ち方ひとつですよ。おれが一番になってやろうという気構えでやってるやつと、ただ練習やらされるからやってるだけのレスラーは差がつくと。そういう気持ちを持ってないとダメですよ。

ゆで 技とかは、関係ないんですか。

馬場 いい例が外人が、六人くるとするでしょ、その中でオレが一番になるんだ!そういう気持ちを持って試合をするやつが、上にでてきたんだよ。それが、古くはブラッシーデストロイヤーであり、今のシン、ハンセン、ブッチャーなわけだな。だから、技があるとか、そんなの関係ないんだよ。

ゆで そうすると、マードックNWAをとれなかった原因ていうのも、その辺にあるんですか。

馬場 うん、あれなんか一所懸命やったら、本当にいい選手。でも、性格というかユカイなやつで、それが試合にでちゃうわけね。だから、あれは上にいかれないと思うんですよ。

ゆで ロビンソンも、そんな感じでAWAをとれなかったんですか。

馬場 あれは、なんにも考えてない。

ゆで ハハハハ…でも、一時、強かったですよね。

馬場 あれはね、技のスーパーマーケット、技を自慢してやってるだけね。だから、あいつが試合をすると、毎日同じことやるんだな。おっ、変わってることをやってるなというのがないんだな。

ゆで 確かに、だんだん飽きられてきてましたよね。

馬場 うん、だから、やっぱり、なにも考えずにやってるやつは、上へでてこないなあ。頭のいいやつは、どんなふうに自分をアピールしていくとか、ファイトを変えていくとか、考えていいレスラーになっていくんですよ。

世界最強のレスラー うーん、それはねえ…

ゆで 最後に、馬場さんが、世界最強だと思うレスラーを教えてください。

馬場 うーん…それは、わからんよ。おれが若い頃は、ロジャースとかテーズとか、雲の上の人だったし、でも、自分が上になってくると、そういった人は年とって、若いのがでてくるしね。ハンセン、ブロディもやりたくないというほどの相手でもないし…。

ゆで …………。

馬場 うーん、アタマもいいし、技もあるしということからすると、ハリー・レイスドリー・ファンクJr. じゃないかと、おれは思うな。 結局、プロレスでも、野球でも、漫画の世界でも、みんな同じだと思うけどな。アタマの使い方で、超一流にも、タダの人にもなってってしまうよな。

ゆで その通りですね。ぼくらもがんばります。

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