Copyrighted:運命の選択肢 黄金のマスク編

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{{copyrighted|ゆでたまご「これがゆで流創作術!キン肉マン―運命の選択肢― 黄金のマスク編」『[[SJRW キン肉マン 悪魔将軍!!黄金仮面編|キン肉マン 悪魔将軍!!黄金仮面編]]』集英社〈ジャンプリミックス ワイド版〉、2006年6月17日、ISBN 978-4-08-109201-7、345-349頁。}}
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{{copyrighted|ゆでたまご「これがゆで流創作術!キン肉マン―運命の選択肢― 黄金のマスク編」『[[SJRワイド キン肉マン 悪魔将軍!!黄金仮面編|キン肉マン 悪魔将軍!!黄金仮面編]]』集英社〈ジャンプリミックス ワイド版〉、2006年6月17日、ISBN 978-4-08-109201-7、345-349頁。}}
  
 
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2008年6月25日 (水) 14:31時点における版

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オリジナル: ゆでたまご「これがゆで流創作術!キン肉マン―運命の選択肢― 黄金のマスク編」『キン肉マン 悪魔将軍!!黄金仮面編』集英社〈ジャンプリミックス ワイド版〉、2006年6月17日、ISBN 978-4-08-109201-7、345-349頁。

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復活の大好評企画!ゆでたまご・嶋田先生に聞くマンガ制作裏話集。今巻は「黄金のマスク編」衝撃エピソードを大公開!!

目次

ウォーズマンはロボ超人でなければ活躍できた!?

大成功を収めた前シリーズ・7人の悪魔超人編に続く新章として生まれたのが、今巻に収録されている黄金のマスク編だ。キン肉マンVSバッファローマン戦をはじめ、今なお語り継がれる名勝負を数多く排出したシリーズの続編であっただけに、ファンからの期待とともに、ゆでたまご先生ご自身の意気込みも大きかったと思われるが…その新章開始までの経緯を伺ってみた。

「ちょうどこのシリーズが始まる間際に、担当編集者も新しい人に変わったんですよね。それで彼が大分県出身だったので、新しい仕掛けとして地獄めぐりなんて面白そうだという話になったんです。大分の別府温泉に "地獄めぐり" という観光スポットがありまして。ワニ地獄、龍巻地獄、血の池地獄といった実際の場所をヒントに超人を当てはめていったり、逆に登場の決まっていたプラネットマンにあわせて宇宙地獄なんて作ってみたり」

設定を相当練り込まれたようですね。

「でもそのプラネットマンなんかが特にそうだったんですが、最初のうちは仕掛けに凝り過ぎたせいで、なかなかうまく話が転がらなかったんです。戦い方も難しいし」

画像: 人面プラネット登場。

ウォーズマンの顔がやや左胸に寄っていたのは計算ずく!?

氷点下首四の字ですとかグランドクロスですとか、確かにアイデアとしては相当練り込まれたキャラなんですけどね。

「そうなんですよ。なのにどうも地味だった。そこでここらで一発ド派手なことをやろうとして、いきなり各惑星にみんなの顔を浮かび上がらせてみたんです」

人面プラネットですね。あの展開は意外でした。

「引きでインパクトを作りたくて。こうしたら驚いてくれるかなと」

しかしあの展開から、ウォーズマンの不遇

[P 346]

画像: 五重のリング、交代するザ・ニンジャとサンシャイン。

交代をサンシャインに命じるニンジャ!その真の意図は、ゆでたまご先生のフォローだった!!

が始まった気がしますよね。たまたま心臓部にいたばっかりに。

「いや。あれは、わざと彼をそこに配置したんですよ」

え、たまたまじゃなかったんですか!?

「ええ、その頃ちょうど『トロン』という映画を見ましてね。コンピュータの中に人間が入って冒険するというのは舞台として面白いかなと思ったんです。他にも『ミクロの決死圏』という映画がそれ以前から好きでして。これは小さくなった医者が人間の体内に入って病気を直すという話で…」

ああ、その格好の舞台となりうる超人がひとりいますね、主要キャラの中に(笑)。

「それで先を見越してウォーズマンに犠牲になってもらおうと思ったんですよね。それでプラネットマンの心臓部に置いたんです」

五重のリングの戦いでは途中で対戦相手を入れかえた!?

そうして五重のリングの戦いに移るわけですが、当初の設定だと西武球場は竜巻地獄、蔵前国技館は砂地獄、という風に場所も決まっていましたよね?

「なのでこれはある意味、テコ入れに近いんですよ。さっき話しましたように、その前の2戦が盛り上がりに欠けた気もしていたところで、ウォーズマンの身体の中で戦うというネタを思いついて、これは絶対に面白くなるぞ!と思ったので、残りの超人もこの一か所に集めたんです。だいたいこうして見返すと、プラネットマン戦の最後の方なんてもう、プラネットマン自体はあんまり関係なくなってますもんね(笑)。早く次の舞台に移したくて仕方なかったんだと思います」

そしてここで、ついにジェロニモも戦列に加わることになりました。彼が人間だという設定は最初から?

「ジェロニモは、最初からそのつもりで出したキャラですね。読者の子供たちに親近感を持ってもらえるように、超人の中にひとり人間を入れようとは思ってたんです。それで人間でも頑張れば超人に勝てるというのをやりたくて」

その伏線があったから、この五重のリング決戦のトリとしてジェロニモを4階に持っていったんですね。

「そうなんです。でも話を進めていくうちに、行き掛りで対戦組み合わせを間違えてしまいましてね。もともとジェロニモはサンシャインと戦わせるつもりだったんですが、その前に4階にはニンジャを描いてしまっていたんですよね(笑)。それでしまった!と思って、途中で対戦相手を入れ替えたんです」

確かに最初は4階にニンジャがいて2階にサンシャインがいましたね!その後でふたりが入れ替わるシーンもありました。でもあれはああいう演出なのだと思いましたが…?

「いや、あれは間違えたから翌週に慌てて入れ替えたんですよ(笑)」

そこまでしてジェロニモをサンシャインと戦わせたかったのは何か意図が?

「人間が頑張って戦う姿は、相手がデカい方が絵になるなと思ってたんですよ」

確かにニンジャ相手だと人間同士の戦いのように見えなくもないですからね。

「そうなんですよ。その点、サンシャインならどこから見ても "超人" ですから」

[P 347]

当初はアシュラマンよりザ・ニンジャの方が格上だった!?

それにしても五重のリングの戦いは、どれをとっても名勝負との評判が高いです。

「舞台を転換させてから、背骨とか肺とか色々な仕掛けも使えるようになったのも大きいですよね。でも戦いの描写に集中しすぎた分、いつの間にかキン肉マンがただの見物人になってしまいましたけど(笑)」

途中からキン肉マンも開き直ってましたよね。"さぁ次は正義超人実力No.1のテリーマンだ" とか言って、わくわくしながら背骨登ってますし(笑)。

「自分でも "キン肉マン早く上に行けよ!" って読者にツッこまれるだろうと思いながら描いてたんですけどね…まぁ別にもういいかなと」

そしてキャラクター的にもアシュラマンを筆頭に、サンシャイン、ザ・ニンジャと後々重要なポジションに就く超人が一気に登場しています。しかしアシュラマンはもともと捨てキャラのつもりだった…という発言を先生は以前にされていたことがありますね。

「そうですね。初登場のシーンを見てもらえればわかると思いますが、完全に捨てキャラ扱いでした」

確かにそのシーンを見ると…ザ・ニンジャが一番目立ってますよね(笑)。ニンジャが最初は4階にいたという先程のお話もこれを見れば頷ける気がしますが、つまりニンジャがリーダー候補の最右翼だったということなんでしょうか?

「キャラを出した当初はそういう感覚でした。ただその後アシュラマンの扱いが変わったのは、やっぱり阿修羅バスターという技への反響が大きかったことに尽きますね。ニンジャの試合も好評ではあったんですが、それを上回るインパクトがあの技にはあったようでした」

それは "キン肉マンのマネをするな!" というような否定的な反響ではなく?

「いや、あの技こそキン肉バスターを超える技だという好意的な意見が多かったです。あとは顔が変わるとファイトスタイルも変わるのがカッコイイという声も多かったですね」

この4連戦でアシュラマンだけ唯一負けずに引き分けた、というのもその辺りの影響でしょうか?

画像: 悪魔騎士4名。ザ・ニンジャが目立つ。

悪魔騎士4名の初登場シーン。アシュラマンとサンシャインがニンジャの手下のように見える!?

「そうですね。人気があったというのも大きいんですが、キン肉マンとのバスター合戦が見たいという声もたくさん届いていたので、それで残すことにしたんです」

では本当に読者の反応と相談しながらのキャラ作り、という感覚だったんですね。

「ええ、様子を見ながら話を転がしていけましたね」

では今でこそ悪魔騎士の首領格といえばアシュラマンが筆頭に来るでしょうが、もしニンジャが人気だったら?

「いや、ニンジャも人気あったんですけどね。だからアシュラマンの影に埋もれさせたくなかったので、王位争奪編や『II世』で再登場させたというのもあるんです」

[P 348]

バッファローマンはやはりヅラ超人だった!?

五重のリングでの戦いを終えていよいよ悪魔将軍の登場となりますが、大ボスの話に移る前にここでもうひとり、バッファローマンというこれまた大人気の超人が再登場しています。ここで彼は晴れて、正義超人の仲間入りをすることになりますが、何よりその正義超人入りを表明した瞬間の "カツラを取る" という行動がまず衝撃的でした。

「あれは本当に評判最悪でしたねえ(笑)」

最初の疑問として、どうして彼はいきなりカツラを取ったんですか?

「これは決意の表れなんですよ」

では我々の社会でいうところの頭を丸めるという行為に近いものなんでしょうか。

「何かインパクトのあることをして "オレは正義超人に生まれ変わったんだ!" ということを示したかったんです。そういう意味ではどんな行為でもよかったんですよ。それがまさかここまでネタにされることになるとは思いませんでした(笑)」

これはあえて深読みしてみると、バッファローマンは本来ヅラ標準着用ではないんだけど、たまたまこの時は頭を剃って坊主にしてきた。そしてそれをギリギリまで隠すために、この時だけカツラを付けていた。そのように一時的なものだったと解釈できないこともないんですが…どうでしょうか?

画像: カツラを取り去るバッファローマン。

問題のシーン。この状況を何事もなかったかのように受けとめたキン肉マンとテリーマンはイイヤツだ!?

「うーん。しかしもう読者の間でこのシーンは "ヅラの証拠" ということになってしまっていますからね(笑)。他の手段でインパクトを見せた方が、彼の名誉のためには良かったのかも知れないですよね」

例えば同時期にロビンマスクのマスクのひさしがなかったり、ブロッケンJr.が初めて帽子を脱いだりしましたが、それらについての反響などは?

「いや、これらは戦いの勲章ということでむしろ評判良かったですよ。ただ後の王位争奪編の話になりますが、アシュラマンが王冠を脱いだことがあるんです。中身は仏像のような髪型にしたんですが、あの時も読者から同様にかなり色々言われましたね」

しかしそんなバッファローマンのおかげもあって、このすぐ後にキン肉ドライバーという新必殺技が誕生しました。キン肉バスターに変わる新しい技を…というのは前から考えていらっしゃったんですか?

「そうですね。だいたいヒーローって3つくらいは大技を持っているものなんですよ。タイガーマスクもそうですし、『巨人の星』の星飛雄馬も大リーグボール3号まで持っていますし」

そう言われますと、キン肉マンも最終的にはキン肉バスター、キン肉ドライバー、マッスル・スパークと代表技を3つまで会得しましたね。

「ひとつ技を破られて、そこからさらに特訓して新たな技を身につける、というのはヒーローなら誰もが通る成長過程だと思うんです。ちょうどキン肉マンもそう言う時期にさしかかったのかなということで、新たな技を習得させることにしたんです」

[P 349]

悪魔将軍はキャラクター作りにとても苦労した!?

そしてシリーズ最後の戦いは、キン肉マンと悪魔将軍の一騎打ちに。圧倒的な存在感を放ち、『キン肉マン』史上最強の超人だったと語るファンも今なお多いこの悪魔将軍。しかし意外や意外、当初はこのキャラクターを立たせるのにかなり苦労されたと先生は語る。

「まず最初、読者のハガキをもとにデザインしてみたんですが、なかなかカッコよくならなかったんです。もちろんこれが最後の大ボスだから、アシュラマンやサンシャインよりも強そうで、なおかつカッコよくないといけない。でも出来上がったデザインはメチャクチャ弱そうなヤツだったんで、僕らも困ってしまいましてね。実はコミックスの類ではすべて修正してますけど、連載当時のジャンプに掲載された初登場のコマだけは、そのよくないデザインで出ているんですよ。今と見栄えも違ってかなり弱そうで。でも最後の刺客と銘打ってる以上、コイツを育てないと仕方がないじゃないですか。それで慌ててさっそく翌週にデザイン修正して、四苦八苦しながらやっと今の形に固まっていったんです」

連載当時の読者の反応はどうでしたか?

「たいしてなかったですね。アシュラマンの試合の間なんてどんどんハガキが来ていたのに。だから僕らもますます何とか育てようと必死でしたよ」

地獄の断頭台など、必殺技のフォルムもかなり綺麗だったと思うんですが。

「地獄の断頭台は技名がピッタリはまったというのもありますよね。断頭台のイメージがなければ、よく見るとただのニードロップですし(笑)。でも漢字を使った日本語の技名は、特に意識して多めに入れたんです。それ以前からも日本語の響きは綺麗なのでそれを大切にしたいとは思っていて、これはザ・ニンジャの場合などもそうだったんですが、悪魔将軍に関しては特にそこを意識しました」

試合が進んでいくうちに、超人硬度という新たな情報も出てきました。

「7人の悪魔超人編で出した超人強度が評判よかったので、新たな数値基準を入れてみようということで」

中が空洞だというのも斬新でしたね。どうやって倒すのか想像がつきません。

画像: 悪魔将軍初登場の大ゴマ。単行本版。

コミックスより抜粋した悪魔将軍初登場シーン。この姿に進化するまでには、様々な紆余曲折が!

「あれはある程度ハッタリみたいなものも盛り込んでおきたいなと。まぁ後でなんとかなるだろうと思いつつ(笑)」

しかしこうして改めて伺うと、様々にキャラクターを練られた跡が見えてきますね。

「それはもうこのキャラで勝負するしかありませんでしたから(笑)。でも今は大人になった当時の読者の人に聞くと、悪魔将軍が好きだったと言ってくれる人も多いんです。だから連載当時のハガキからはリアルタイムで反応が見えてこなかったけど、サイレントマジョリティというのはあったんだなと、十数年経ってから改めて実感しましたね」

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