Copyrighted:スカイパーフェクTV!ガイド 2008年6月号 インタビュー
原作者スペシャルインタビュー ゆでたまご・嶋田隆司
初めて「キン肉マン」を描いたのは小学校の頃です。僕は喘息持ちで学校を休みがちだったんですが、漫画を描くのが好きだったから、わら半紙や答案用紙の裏に描いていました。それが友達のすごくウケて、クチコミで話題になっていきました。当時は筋肉の"筋"を漢字で書けなくて(笑)、キン肉マンの"キン"がカタカナなのは、その名残です。
人の家に行って許可なく冷蔵庫を開けて、勝手に食べて『まずい』とか言うような、図々しい奴がいるでしょう?友達にそういう奴がいて、キン肉マンのモデルはその友達なんです。図々しいのになぜか憎めなくて、友達から信用されている。キン肉マンは、そんな男になりたいっていう僕の気持ちが沢山入っているキャラクターですね。
これだけ皆さんに長い間愛してもらえる理由は、まずは登場キャラクターの多さでしょうね。ファンには、それぞれに思い入れのあるキャラクターが必ずいるんです。実際、人気投票をしても主役であるキン肉マンは、5位とか6位ですから(笑)。相棒(作画担当の中井義則)と18歳でデビューしたときに描きたかったのは、友達が沢山増えていくと楽しいよっていう事。"友情"っていうテーマはずっと一貫しています。
キン肉マンが人気になった頃、手塚治虫先生と一緒にお仕事させていただいた時、「プロ野球のような巨大な世界ではなく(プロレスという)小さい世界を描いてこれだけメジャーなキャラクターを生んだのはゆでたまごだけだ」と言っていただいたこともありました。これは嬉しかったですね。
おかげさまで29周年を迎え、またキン肉マンの周辺が盛り上がっています。新宿で開催した「キン肉マン映画祭」も、チケットが開催1カ月前に2時間で完売してしまいました。『週刊少年ジャンプ』にも20年ぶりの書き下ろしの掲載が決まって、非情に楽しみ。今後も、キン肉マンの動きにぜひ注目してください。
ゆでたまご(嶋田隆司)と振り返る キン肉マンブーム
1979年~ 連載スタート
- 「週刊少年ジャンプ」誌上にて「キン肉マン」連載開始。読者の応募したキャラクターが作品に登場するという斬新な手法が話題に。
「あれは初代編集者さんが提案したんです。それが評判になり毎週のように何万通というハガキが来ました。もちろん全部チェックしましたよ。子供たちが真剣に書いてくれたものですから。ちなみにその初代編集者がマンガの中でのアデランス中野のモデルです。彼はズラではありません。そういう髪型なんです(笑)」
1983年~ アニメ化決定!動き出したキン肉マン
- 1983年4月からTV放送がスタート。瞬く間に全国の子供たちの間で大人気となり、朝の放送時間帯にもかかわらず、20%以上という驚異的な視聴率を記録した。
「アニメ化にあたり注文したことは、とにかくギャグをふんだんに入れて欲しいということ。連載当初はギャグ漫画としてスタートしたんですが、後半はギャグが少なくなっていたので、アニメではギャグ路線にしたいと思っていました」
キン消し発売!空前のブーム到来
- カプセル型自動販売機(通称ガチャガチャ)で発売されたキン消しと呼ばれる商品が当時の子供たちの圧倒的支持を受けて大ブレイクする。
「僕はその頃板橋区に住んでたんですけど、近くのダイエーのおもちゃ売り場に子供が沢山並んでるんです。よく見たら自分が書いてるキャラクターを先を争って買ってるんですよ。これを見て、全身が総毛立ちましたね。何かが起こるんじゃないかって思いました」
1984年~ 劇場版作品も続々登場!
- TVアニメの人気を受けて、『東映まんがまつり』のプログラムとして登場。初代キン肉マンのシリーズは全国東映系で全7作が公開された。
「やっぱりTV版とは違う感動がありました。東映映画のスタート画像っていうのは、子供の頃からの憧れでしたから。あの大海にザザーンと波が打ちよせてそこに東映マークがかかるやつね(笑)。その後に『キン肉マン』とタイトルが出たときはジーンときました」
ゆでたまご(嶋田隆司)が選ぶ超人 ベスト3
1位 ラーメンマン
彼の魅力は思想的なところ。それに、あんなに線が少ないのに、すごく表情が豊かなんですよ。最初相棒が描いたときは、屁こいたりラーメン食べたりするだけだった。描いているうちにかっこよく見えてきて、重要になっていったキャラですね。
2位 キン肉マン
読者が落書きしやすい、描きやすいキャラクター。ドラえもんなどもそうですけど、描きやすいっていうのが愛されるキャラの基本だと思うんです。ただ、「肉」という文字を友達の額に描く遊びが、あんなに流行るとは思わなかった。意外でしたね。
3位 テリーマン
相棒はテリーマンが一番好きです。モデルはアメリカのプロレスラー、テリー・ファンクなんですが、あともう一人いるんです。僕は「オバケのQ太郎」が大好きで、Q太郎のライバルであり友達でもある、アメリカオバケのドロンパを多分に意識しています。