火事場のクソ力
火事場のクソ力(かじばのクソぢから)は、『キン肉マン』『キン肉マンII世』に登場する能力。キン肉マンやその一族に顕著に見られる潜在能力で、窮地に陥ったときに普段をはるかに超えるパワーを発揮する。
第20回超人オリンピック編「奇跡のホールドの巻」(JC4) でラーメンマンが「火事場のバカ力」(ばかぢから)として解説したのが初出で、「火事場のクソ力」としての初出は「土俵際にかけろ!!の巻」(JC8) 。ジャンプ・コミックス・セレクション以降の収録ではすべて「クソ力」に統一された。
『キン肉マン』
第20回超人オリンピックの決勝で、キン肉マンはロビンマスクの必殺技により一度は死亡したと思われたが、体が勝手に動き、無意識に放った逆転の大技でロビンマスクにフォール勝ちした。この様子をラーメンマンは「火事場のクソ力」と呼び、「自己防衛本能」「戦う超人にとってもっとも大切な野生の本能」(奇跡のホールドの巻、JC4、149頁)と形容した。
キン肉マンの火事場のクソ力は戦いの中で成長を続け、通常は一度備われば一生変化しないという超人強度の原則を無視し、超人の神々の超人強度1億パワーにも届く勢いであった。これを見た邪悪の神たちが、キン肉マンがキン肉星の王位を継承して天上界へも影響を及ぼすことを危惧し、別の継承候補を5人立てて争わせたのが最終シリーズ「キン肉星王位争奪編」の発端である。
火事場のクソ力を持つのはキン肉マンに限らず、ウォーズマンはキン肉マンとの対戦で学習した火事場のクソ力をバッファローマン相手に発揮した。しかしスタミナに欠けるウォーズマンにとってクソ力の濫用は自殺行為に等しく、濫用を誘ったバッファローマンの作戦で逆にピンチに陥ることになった。他には、ミートがミキサー大帝を相手に「ミート式火事場のクソ力」として使用している。キン肉マンの兄キン肉アタルは、火事場のクソ力の原型とされる「業火のクソ力」(アニメ版では元祖・火事場のクソ力)を使用した。
『キン肉マンII世』
『キン肉マンII世』では K・K・D の省略表記がされるようになり、「キン肉族にだけ与えられた神秘の力」(火事場のダークサイドパワー!?、SPBC9、93頁)と設定が改められた。未熟な火事場のクソ力で戦い続けたキン肉マンの息子・キン肉万太郎の体はデビューから6戦で既に廃人に近くなっており、「K・K・D修練」(火事場のクソ力チャレンジ)と呼ばれる試練に打ち勝つことで完全なクソ力を身に着ける必要があった。火事場のクソ力の三大要素は「寛容」「無我」「友情」であるとされ、3つの戦いを通じ万太郎はこれらを身に着けた。また、火事場のクソ力の強さ(K・K・D値)を炎の大きさで計測する器具「魂のランタン」が登場し、キン肉マンの父・キン肉真弓もこれに炎を灯している。
キン肉族特有の力とされた火事場のクソ力であるが、ロビンマスクの息子・ケビンマスクは火事場のクソ力に似た、同様に極限状態で潜在能力を発揮する「大渦(メイルストローム)パワー」を持つ。超人オリンピック ザ・レザレクションの決勝戦は、万太郎の火事場のクソ力とケビンの大渦パワーのぶつかり合いとなった。
その他
- 火事場のクソ力を発揮しつつ技を繰り出すときに、キン肉マンは「火事場の」を技の名前の前に付ける傾向がある。例えば、リング下からロングホーンで攻撃するバッファローマンを「火事場の一本釣り」と称して引っ張り上げた。他に「火事場のメガトン・パンチ」「火事場のブリッジ」など。