Copyrighted:帰ってきた怪獣魂 インタビュー

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オリジナル: インタビュアー: 木原浩勝「バトルインタビュー3 嶋田隆司」『帰ってきた怪獣魂』双葉社、2000年2月15日、ISBN 978-4-575-46381-1、30-34頁。

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「『ウルトラQ』のオープニングを聴くと、今でもちょっと恐くなりますね」

木原 嶋田さんの怪獣の原体験は何という作品ですか?

嶋田ウルトラQ』ですね。

木原 1968年の放送ですから……。今、おいくつですか?

嶋田 ちょうど今年で39歳ですね。

木原 じゃあ私と、同年齢ですね。

嶋田 『ウルトラQ』で最初に観たのが『ゴローと五郎』なんですよ。それが初めて見た怪獣です。ロープウェイのガイドさんが「あちらに見えますのは」とかやってたら、ゴローがロープウェイにぶら下がって揺するじゃあないですか。あれは本当に恐かったです。あと睡眠薬の入ったミルクを飲んで、ビルを背もたれにしてゴローが寝るシーン。またウチの親父が怪獣好きなんですよ。親父が無理に観せようとするから、よけいに恐くて。ずっとトイレから隠れて観てました。『ウルトラQ』のオープニングを聴くと、今でもちょっと恐くなりますね。今の子供は『Q』を観てチャッチイというけれど、充分恐いですよ、今でも。

木原 いえ、決してチャチくはないです。そんなことより巨大な生き物に見せるためのビルなどとの対比が見事で、全てが初体験の当時は毎回ショックだったように憶えています。他に印象に残ったストーリーはありますか?

嶋田 『ガラ玉』です。隕石っぽい石を見つけると「これはガラ玉や。こん中から絶対にガラモンが出てくる」って信じていました。『クモ男爵』のタランチュラも別の意味で恐かった。実は『ゴローと五郎』があまりにも恐かったために、『Q』を全部観たのは再放送になってからなんです。『ウルトラマン』に

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ハマってからは、マトモに観るようになりましたね。

木原 次に放送された『ウルトラマン』では、どの怪獣がお好きですか?

嶋田 全部好きです。特にと言われればメフィラス星人かな。メフィラス星人はヒールというよりは、プロレスで言うとビル・ロビンソン[1]タイプ。正義超人などに通じるところはありますよね。

木原 あの頃は『ウルトラマン』と同じくらいプロレスも人気がありましたよね。ふたつを同時進行で愛好した結果が『キン肉マン』に結びつくわけですか。

嶋田 まさにその通りですね。

木原 『キン肉マン』は最初読み切りの形で発表されましたよね。

嶋田 元々『キン肉マン』というのは、僕が相棒の中井くんと小学校の頃から描いていた怪獣もののパロディで、原型は実は『スペクトルマン』なんです。ホームレスのお兄ちゃんが空に浮かぶ円盤に向かって「変身願います」って言って、キン肉マンになるっていう話だったんです。『キン肉マン』にシシカバブーというキャラクターが出て来るんですけど、あれがキン肉マンの原型です。あいつ1回しか出ていないんですけど、人気があるんですよね。また、連載上の『キン肉マン』の最初の設定はウルトラ兄弟のひとりだったんです。ウルトラの父も間違いを犯した子供が絶対いるやろって(笑)。

木原 『スペクトルマン』はタイトルが最初『宇宙猿人ゴリ』という悪側からタイトルしょってきました。その後2転3転しました。そして『スペクトルマン』のマンガは、一峰大二さん[2]が描いていました。私は一峰大二が一番好きですね。ウルトラマンよりスペクトルマン描いている一峰大二がいい。

嶋田 僕、スペクトルマンの時しか知らないんですよ。あとは普通のマンガ。ウルトラマンを後に見て、あっ、こんなん描いてるんかって。あいかわらずスクリーントーン貼ってないし(笑)。

木原 一峰さんの『スペクトルマン』にはガレロンやゾロランダーといったマンガにしか登場しない怪獣もいましたよね。

嶋田 そうですね。連載していた『冒険王[3]』は、毎号楽しみでした。

木原 巻頭特集で、ダストマンと組み合ったスチール写真は鮮明に覚えてます。

嶋田 そうそうそう! ヘッドロックやってるところでしょ(笑)。

木原 ああいう写真がなくなりましたね。怪獣にヘッドロックかましたり羽交い締めにしたり、逆に怪獣にヒーローがされるようなのが……。そういえば、最近のウルトラマンは重量感がないように思えるんですよ。

嶋田 昔のウルトラマンは動きがスローモーでしたけど、それがよかったんです。それと初期のウルトラマンって、恐かったでしょう、頬が落ち込んでいて。あれが好きでしたね。筋肉質のウルトラマンも好きだけど。それとタイトルバックが最高でしたね。最初『ウルトラQ』って出て、『なんや、まだウルトラQかいっ!』って思って。そういえば、レッドキングってなんで最強なんですかね? 別にウルトラマンを危機に陥れたりしませんよね?

木原 レッドキングは最初に怪獣同士が闘って勝った怪獣ですよね。怪彗星ツイフォンが来た25話でも、ギガスをこてんぱんにやっつけてドラコと対決しますよね。力に任せて怪獣同士の闘いに勝利しているということで、怪力ナンバーワンということになったと思います。頭の悪さもナンバーワンですけど(笑)。

嶋田 確かに怪獣がいっぱい出てくるときにレッドキングが必ず出てきましたから、イメージはいいですね。怪獣がいっぱい出てくる回ってワクワクして、学校から早く帰ってきていました。

木原ウルトラセブン』はどうですか?

嶋田 『セブン』はねえ……。巨大怪獣が好きですから、宇宙人が出てくると「これは制作費を安くあげてるのかな」とか思ったんですよ。それと、セブン

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は隊長からして辛気くさかった(笑)。『帰ってきたウルトラマン』でまたちょっとハマりましたけどね。

木原 『帰ってきたウルトラマン』は18話でベムスターが出るまでは宇宙怪獣はゼロでしたから統一感がありましたよね。ずっと地球の怪獣にこだわっていて。

嶋田 ストーリーも良かったですね。ドラマ部分でハラハラすることも多かったし。ただ、変身アイテムがないのかちょっと……(笑)。

『キン肉マン』の超人データは怪獣データがモデル

木原 映画の怪獣はどうですか?

嶋田キングコング対ゴジラ』はおもしろかったですね。ゴリラみたいな怪獣が好きなんです。だから『サンダ対ガイラ』や『フランケンシュタイン対バラゴン』も好きですね。あと『怪獣総進撃』ですね。いっぱい出てくるやつ。

木原 人間型が格闘に向いているというところが好きなんですか?

嶋田 やっぱりゴロー観たときの原体験が強かったんでしょうね。僕は人間がでかくなっていくシチュエーションが好きなんですよ。

木原 そういえば、キン肉マンもデカくなるだけですね。

嶋田 巨大ヒーローものが好きなんですね。だから『仮面ライダー』には全然ハマらなくって、他には必殺シリーズにハマっていました。今も前口上が全部言えますよ。必殺に関しては日本一を自負していますから(笑)。実は僕『必殺』にゲスト出演しているんですよ。

木原 『必殺』の影響ってそれほど大きいんですか?

嶋田 キン肉マンの二面性は、主水を多分に意識をしていますね。

木原 『キン肉マン』は怪獣だけでなく、主水からもインスパイアを受けているんですね。そこから独自の世界を築き上げていったんですね。

嶋田 最初は何でもアリの世界でしたね。たまたまプロレスの方に流れていきましたが、もしかしたら怪獣退治モノでずっといっていたかもしれない。

木原 闘いも、モデルにしたウルトラマンのような身体の能力を使ってますよね。

嶋田 キライなんですよ、光線を出したりするのって。初期の『キン肉マン』で行き詰まったのってそれがあるんですよ。

木原 今描いている『キン肉マンII世』で、怪獣の復活ってあるんですかね?

嶋田 『キン肉マンII世』のガールフレンド編は昔っぽい展開だったんで、怪獣が出てくるのではと思ったファンの方も多かったみたいです。

木原 ボクが『キン肉マン』で怪獣モノと意識するようになったのが、ラストシーンで巨大になったキン肉マンと怪獣が燃える街をシルエットに闘っていて、テリーマンが「しょうがねえな」と言わんばかりに走って助けに行くという話なんです。ああいう絵の見せ方は怪獣映画まんまだと思ったんですよ。

嶋田 そう言われるとうれしいですね。怪獣作品のエッセンスといえば、超人のデータなんかも影響を受けていますね。本当は足裏までつけたいぐらいですよ(笑)。あれが大好きだったんですよ。

木原 モスラの幼虫の足跡がハート型とか。

嶋田 形を覚えて、怪獣の名前を隠しておいて、みんなで当てあいましたよね。

木原 ああいう遊びがなくなりましたよね。怪獣の内部図解することも今はありませんからね残念です。「○○袋[4]」とか、子供の常識でしたからね。ところで『ガメラ』はどうですか?

嶋田ガメラ』は観ていましたけど『ガメラ対バイラス』に行っても、同時上映の『妖怪百物語[5]』の方が楽しみでした。バイラスってだっさいしね(笑)。

木原 イカですからね(笑)。

嶋田 『妖怪百物語』は恐かったなあ。『大魔神』も恐かったけど。あと『ガッパ』も好きでしたね。

木原 『ガッパ』ですか。いやぁ……。

嶋田 歌がよかったですよね。

木原 アレ聞いて劇場で、うーんどうしようかって(笑)。

嶋田 『仲良~く 親子で~ぇ 故郷へ 帰る~』(笑)。

木原 『宇宙の神秘~ 怪獣ガァッパ~ァ』

二人 『ガッパ~ァァッ、ガッパ~ァァッ』

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木原 再放送で何度も観てるからすぐに歌えるのが、同じ世代だなぁ。昔は野球中止の時の代替番組、いわゆる雨傘番組に怪獣映画がよくありましたよね。『ガメラ対バルゴン』を観たことなかった時に、いつも雨傘番組に『ガメラ対バルゴン』と書いてあって、「雨よ、降ってくれって」祈っていました。結局夕方の再放送で観ることができたのですが、ウチのテレビが白黒で、カラーテレビを持っている友達のところに押し掛けたりしました。

嶋田 僕のところも白黒でした。だからセブンとかマンも、映画で初めて色の付いたのを観ましたもん。

木原 当時は本を買わないと、怪獣の色などわからなかったですからね。それで怪獣図鑑を必死で買ったり、ブロマイドを集めて。

嶋田 レッドキングなんてレッドつうから赤いのかと思ってましたもん。

木原 そういう時代でしたよね。今の子供は白黒の画面を見ると「テレビが壊れてる」って思いますからね。

怪獣で一番好きなのはやっぱりゴジラですよ

木原 やっぱり嶋田さん的には、一番思い入れのある怪獣はゴローなんですか。

嶋田 いや、怪獣で一番好きなのは、やっぱりゴジラですよ。今度の新作でUFOと闘っているのを観た時、ちょっとガッカリしましたよね。

木原 ゴジラはどのゴジラが一番好きですか?

嶋田 やっぱり『キンゴジ』ですね。真昼にいきなりゴジラが出てくる所なんか恐かったなぁ。最初のゴジラも好きなんですけど、あれは後に観たからインパクトがね。もし最初に観ていたら違ったでしょうけど。『ゴローと五郎』を今の子供が観ても何とも思わないのと同じだと思います。

木原 やっぱり最初に受けたインパクトは引きずられてしまいますね。

嶋田 その当時で言うと『キャプテンウルトラ』も好きだったなぁ。特にあかね隊員[6]

木原 あかね隊員(ため息)。世間はよくアンヌ隊員がいいと言いますけど、ボクのベストワンはあかね隊員なんですよ。

嶋田 同じじゃあないですか。あかね隊員はいいですよね。いい女でしたよねえ! キケロ星人ジョーがいなくなって、あかね隊員が全面的に出てくるようになりましたよね。うれしかったです。

木原 あかね隊員が休暇で私服だった話があるんですよ。これがドキドキ(笑)。

嶋田ウルトラマンA』の美川隊員[7]も好きなんですよ。あと『マグマ大使』を観てても「僕やったらモル[8]しか呼べへん」って(笑)。

木原 大人っぽいムードの女性が好きなんですね。『ウルトラ』の他にボクが憧れたのが『高速エスパー[9]』。玄関開けて走り出して、何回「イー・エス・パー」と叫んだことか。友達の家に行って手乗り文鳥を肩に載せて「チカ」と声をかけたり(笑)。

嶋田 それだったら僕は『バロム1[10]』がそうでしたね(笑)。よく真似しましたよ。『ぼくらマガジン[11]』に載っていたときから好きでしたね。テレビ化されるとは思わなかったですね。ただのオッサンの顔ですもんね、原作のバロム1は。ゴルゴ13みたいな(笑)。

木原 顔が怒っていましたよね。『ぼくらマガジン』ねえ。万博[12]が終わってすぐ終わった印象があります。

嶋田 万博会場が襲われるのって何でしたっけ?

木原ガメラ対ジャイガー』ですね。ガメラがジャイガーを倒した後ジャイ

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ガーの死体を運び去るんです。万博の会場に怪獣の死体を放置しておくのはマズイだろうと配慮しちゃうんです。それとガメラに向かって「万博会場を守ってー!」と子供が言うとガメラがちゃんと守る(笑)。ボクは「壊せ、壊せ」ってつぶやいてました。くやしいのでそのあとまだ映画を観ていない友達に「いや、ソ連館がメチャメチャやられてな」っていう嘘を言いましたね(笑)。

嶋田 僕、パビリオンが大好きだったんです。みどり館とか、住友童話館とか。ソ連館に行きましたか? いつも混んでましたよね。「いっぱいですね」って言ったら、「も~、すくわ」ゆうしょうむないシャレが……。

木原 (爆笑)。大阪の子やねぇ。

嶋田 大阪といえば『仮面の忍者赤影[13]』をよく再放送やっていましたよね。あれ製作が関テレ[14]やからかな?

木原 夕方5時からは再放送と言えば再放送の黄金時代でしたね。

嶋田 大阪って東京と違う番組やるじゃないですか。朝から『コメットさん』とか『お~いまんがだよ』とかやってましたよね。『お~いまんがだよ』ではワーナーブラザーズの番組が多かったじゃないですか。だからワーナーブラザーズスタジオは大阪に出来た方がよかったんですよ(笑)。それと昔のアニメ作品って、南利明などコメディアンがアドリブでアフレコやっていたじゃないですか。面白かったなあ。『ゴームズ[15]』なんか、ムチャクチャじゃないですか。

木原スーパースリー[16]』と同じ声優使って(笑)。『ファンタスティック・フォー』って言われてもピンとこない。『ゴームズ』やって(笑)。

嶋田 『キン肉マン』のイワオはガンロック[17]がモデルなんですよ。

木原 そう言われれば、そうですよね。あとヒューマントーチじゃなくてファイヤーボーイ[18](笑)。

嶋田 同世代同地域の人間と怪獣の話をすると、結局怪獣の話だけじゃ済まなくなりますね。

木原 でも面白いから、いいんです(笑)。

  1. ^ 当時ルー・テーズと並び称された実力派レスラー。必殺技はダブルアームスープレックス。
  2. ^ 数多くの特撮やアニメのコミカライズで活躍した漫画家。
  3. ^ 秋田書店発行による月刊マンガ雑誌。特撮やアニメのマンガを多数掲載していた。
  4. ^ ゴジラが放射能を吐くのはウラン袋があるから、という解説が当時の図鑑にあった。
  5. ^ 昭和43年公開の映画(大映制作)。公開後、妖怪ブームを巻き起こした。
  6. ^ 宇宙パイオニアスクールの教官兼宇宙パトロール隊の所長助手。グラマーで色っぺーオネーチャンだった。
  7. ^ TACの隊員で主に通信を担当。子供番組にしては妙にアダルトな雰囲気を持っていた。
  8. ^ 『マグマ大使』に登場した、マグマ大使の妻&ガムの母親。主人公・マモルが笛を1度吹くとガムが、2度だとモル、3度だとマグマを呼べる。銀ラメのボディスーツ姿からもわかる巨乳の持ち主(笑)。
  9. ^ 7つの超能力を使って戦う、強化服着用ヒーローの元祖。
  10. ^ さいとう・たかお原作の変身ヒーロー。変身ポーズ・バロムクロスは人気が高かった。
  11. ^ 講談社から発行されていた月刊マンガ雑誌。
  12. ^ 「未来」をテーマに昭和45年に開催された大阪万国博覧会のこと。大阪の千里が会場だったため、大阪の人は足繁く通った。
  13. ^ 横山光輝原作による特撮時代劇。影一族の忍者・赤影たちが日本支配を企む金目教や卍党と戦う。
  14. ^ 関西テレビのこと。ちなみにフジ系列。
  15. ^ 正式タイトルは『宇宙忍者ゴームズ』。特殊な能力を持った4人のメンバーが、宇宙魔人と戦うアメリカ製アニメ。原題は『ファンタスティック・フォー』。
  16. ^ 特殊能力を持つマイク、フリー、コイルの3人の秘密諜報部員が活躍するアニメ。
  17. ^ ゴームズのメンバーで怪力自慢の岩石超人。口癖は「ムッシュメラメラ」
  18. ^ 発火能力を持つ、ファンタスティック・フォーの最年少メンバー。
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