Copyrighted:歴代編集と作者が語るキン肉マンここだけの話

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オリジナル: 「キン肉マン激倒メモリアル PART2 歴代編集と作者が語るキン肉マンここだけの話」『週刊プレイボーイ1998年8月1日号増刊 キン肉マンII世 総集編』集英社、雑誌20676-8/1、125-126頁。

[P 125]

キン肉マンは、マスクマンじゃなかった!?

――まずは『キン肉マン』のストーリー全編を通じて、重要なキーワードであるマスクについて聞かせてください。

嶋田氏(以下S)「マスク、これはもう重要ですよね」

中井氏(以下N)「ウォーズマンと闘った時やね最初のマスク剥ぎマッチは」

S「そうそう。あれ、最初の設定ではマスクじゃなかったですからね。キン肉マンの顔ってヒフだったんですから」

――そうなんですか!

S「取材で新日本プロレスの道場に行ったときにね、山本小鉄さんが『これ、マスクでしょ?』って言ったんや。あ、それもありかなと思って。ウォーズマン戦の途中で、マスクということにしたんや」

N「顔見せたことないっていう風にしてね」

S「小鉄さんには感謝ですよね……。マスクに限らず、設定はいっつも行き当たりばったりなんですよね」

N「そうですね。次どうしよう、次どうしようって。『7人の悪魔超人編』なんか、最初出てきた7人は適当でしたからね」

S「まだ決まってなくて、相棒が勝手に作ったんですよ。ケツみたいな『プリプリマン』とか(笑)」

――他にもそういう"劇的"な変更はあったんですか?

Sタッグ編のチームで、最後の敵キャラね、もうひとつ決め手がなくって……『ヘル・ミッショネルズ』とか言って頭巾かぶってましたけど、実はあれ思いつかなくってごまかしてたんですよ」

Nヘル・ミッショネルズ2号なんかはさ、最初正体を現して、気に入らんからまたパカーンと頭が割れて中から出てきたんやね(笑)」

S「そんなん多いですよ。気に入らんかったら変えちゃうという」

「行き当たりばったりで展開を考えていた、というといい加減なようだけど、当時のコンセプトとして、とにかく『ビックリ箱』みたいなマンガにしようというのがあったから。
ストーリーもキャラも、つねに意外性を求めてた結果じゃないですか」
(元担当編集者・M氏)

[P 126]

『素顔ポスター』にまつわる新事実発覚!!

――キン肉マンが本当はどんな顔をしてるんだろうって、ずっと気になってました。マスクが剥がされそうになるたび「今回は見れるか?」って。

S「ちょうどキン肉マンのマスクが剥がされそうになったとき、"キン肉マン素顔ポスター"付きっていう『ジャンプ』が、午前中で売り切れたんですよ」

N「あー、そうだったね」

S「あれサギやったんですよ。正体なんか全然見えへん。真っ黒で。覚えてます?」

N「サギって人聞きの悪い。一回目はね、輪郭も、鼻も口も目もね、けっこうしっかり描いたのを作ったんですよ。そしたら『ちょっとこれ見せすぎなんじゃないか?』っていう話になって、顔だけ描き直したんです。でも、びっくりしたと思うよ、あれ。そこまであっためてあっためて、正体がついに出るってことで、買いに行って。それでポスター見たら、顔真っ黒でしょう?」

S「ストーリーの中でも、いっつもうまく逃れたもんね。テリーと入れ替わってたとか。よく考えたよね、今思えば」

「"素顔ポスター"、確かにその号がメチャクチャ売れたのは強烈に覚えてるよ。
顔なんて本当に全然見えなかったんだけど、確かアンケートの人気投票でも、そのポスターがマンガを何本も抜くほどの人気だったんですよ、実は」
(元担当編集・I氏)

初公開!キン肉バスター誕生秘話

――キン肉マンの必殺技といえば、やっぱりキン肉バスターですよね。あの技はどうやって生まれたんですか?

N「技はいっつもふたりで、実際に体使って考えたんですけど、たまたまああいう形になったんやね」

S「どうにかしてつくったんやね。ゴチャゴチャやってるうちにヒョイッと(笑)」

S「もう、いろいろやってましたね。プロレス見て、自分でやってみたり」

――キン肉バスター以外で、特に気に入ってる技は?

S「マッスル・ドッキング(キン肉バスターとキン肉ドライバーの合体技)がよかったですね。『タッグ編』が成功したのは、合体技があったからだと思います。それはもう、アドリアン・アドニスのお蔭やな」

N「あー、そうね」

S「アドリアン・アドニスとボブ・オートン・Jr.(往年の外国人レスラー)が、初めて合体技をプロレスの中に持ってきたんですよね。合体パイルドライバーとか。だから、アドニスが死んだとき泣いたもんな?」

N「そうやったっけ?」

「『タッグ編』で、マスクを剥ぐ技を編み出すのには苦労しました。打合せでもいろいろ智恵を出し合ってたんですが、たまたま『前と後ろから一緒にいけば、とれるんじゃない?』と言ったのが、『クロスボンバー』という技になったんです。実はその後、それを見てプロレスラーが同じ技を真似たという噂もあるんですよ。技の名前は違いましたけど」
(元担当編集・T氏)
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