Copyrighted:運命の選択肢 7人の悪魔超人編
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オリジナル: ゆでたまご「これがゆで流創作術!キン肉マン―運命の選択肢― ~7人の悪魔超人編~」『キン肉マン 7人の悪魔超人編 (1)』集英社〈ジャンプリミックス ワイド版〉、2005年8月27日、ISBN 978-4-08-109025-9、318-319頁。 |
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ゆでたまご・嶋田先生に聞く「7人の悪魔超人編」衝撃の裏話!今巻と次巻の2回に分けて紹介だ!
「7人の悪魔超人」のボスはブラックホールだったかも知れなかった!?
「そろそろキン肉マンの周辺キャラも固まってきたんで、団体戦をやりたいなと。それがこのシリーズのきっかけでした。それで明確な敵、悪魔超人を登場させることにしたんですが、こういうのはだいたい7人だよね……と当時の担当編集者と話してまして、それで7人。でもその7人の人選は、シリーズ始まってもまだ決まってませんでしたけどね(笑)」
- 確かに前シリーズ「第2回超人オリンピック編」のラストと今シリーズの1話目では、誰だかよくわからない人も「7人の悪魔超人」を名乗っていました。
「今さら直す気も起こらないので、あえてあのままにしてます(笑)。でもバッファローマン、ブラックホールの2人についてはほぼ決めていましたっけね」
- ということはバッファローマンがボス超人だというのは確定していた?
画像: 前シリーズラストのコマ。ブラックホール、バッファローマン、アトランティス?、ミスターアメリカン
「第2回超人オリンピック編」ラストの次回シリーズ予告の1コマ。どう見てもブラックホールがボス格っぽい?
「いや、ボス候補というところまでは考えてませんでした。いつも通り、そこはやりながら決めて行こうと。だってバッファローマンなんて、最初の頃の絵だとただの牛超人ですからね(笑)」
- シリーズが進むにつれて、表情がどんどん変わっていきましたね。それに比べて先程お話しのありましたブラックホール、よく見ると彼の扱いは別格ですね?
「ブラックホールはいい超人になるな、と思っ
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画像: ミートがバラバラにされるシーン。
当時の編集部員がこのコマを見てひと言、「決まったね。このシリーズ人気出るよ」。
ていたんです。戦いで遊べそうなアイデアがどんどん湧いてきて……そう考えると最初はブラックホールがボス候補だったような気がします」
- でもこのあと、バッファローマンがミートくんをバラバラに。そこでお株を奪われてしまいました。
「このシーンでこのシリーズ自体の方向性が決まりましたからね。それにいいと思った超人は早めに戦わせたかった。それで結局、ブラックホールはボス候補から外して2戦目にもってきたんですよ」
- つまりブラックホールにとっては、ミートをバラバラにしそこなったのが運のツキだったわけですね。
「でも彼のことは気に入ってますよ」
ウルフマンの参戦はギリギリまで悩んだ?
- 一方の正義超人の人選についてはどうだったのだろうか?先生のご意見を伺ってみた。
「団体戦ということで、まずキン肉マンの協力メンバーを5人出そうと。そこでテリーマン、ロビンマスク、ウォーズマン、読者の人気を考えてもここまでは順当かなと思ってました」
- となると他の超人についてですが、まずブロッケンJr. ですが?
「彼は女の子の読者から絶大な人気があったんですよ。ラーメンマンとの関わりがあったおかげで、それなりにキャラに背景はありましたし、それにまだ若い未完成な超人という設定で将来性もあったので、少し育ててみようかな…と。実際、さっきの3名以外で考えるとブロッケンしか見あたらなかったんですよね。それで彼はここに加えたんです」
- え?ではさらにその範囲外だったウルフマンの立場は……?
画像: 助太刀に現れるアイドル超人。左からロビンマスク、ブロッケンJr. 、ウルフマン、ウォーズマン
ページで見るとウルフマンがやや控えめ。わざとです……と先生。
「これは登場させるべきかどうか本当に悩みました。だってどうしても他に比べると、彼だけあからさまに浮いてるじゃないですか(笑)。だから見開きページでテリーマン以外の協力者4人が登場するシーンがあったんですが、その絵の中にウルフマンを入れるのがすごく心配で心配で。ギャグに見えたらイヤだなぁと思って(笑)」
- そう言われますと、見開きの折り目あたりにいるのがやや控えめに見えなくもないですね(笑)。でもあのやられっぷりはかなりの存在感がありましたよ?
「ええ。彼の場合は、いかにしてやられるかが見せ場だと思っていましたから。なので、彼が負けるのだけは試合前から決まっていたんです。せめて死ぬことによって人気が出るんじゃないかと思って……(笑)」
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オリジナル: ゆでたまご「これがゆで流創作術!キン肉マン―運命の選択肢― ~7人の悪魔超人編~」『キン肉マン 7人の悪魔超人編 (2)』集英社〈ジャンプリミックス ワイド版〉、2005年9月10日、ISBN 978-4-08-109034-1、300-303頁。 |
[P 300]
ゆでたまご・嶋田先生に聞く「7人の悪魔超人編」裏話集。前巻に引き続き、衝撃のエピソード満載!!
「キン肉バスター破り」はギリギリまで見えていなかった!?
- 『キン肉マン』という作品の大きな魅力としてよく挙げられるのは、やはり試合中に見られる奇想天外なアイデアの数々であろう。一方の超人が思いもよらない必殺技や芸当を披露すれば、相手超人はさらにそれを上回る発想でそのギミックを攻略していく。その連鎖が試合の勝敗に、より深い味わいを与えているのだ。
- 今回のシリーズでは「吸引ブラックホール」、「悪魔霊術血しばり」などなど、その傾向がこれまでよりさらに顕著に現れており、先生にとっては頭を悩まされた機会も多かったと思われるが……。
画像: キン肉バスターやぶりが見えたというバッファローマン。
彼には見えていても、ゆでたまご先生にはまだ見えていなかった!大丈夫なのか!?
「いつもそうなんですけど、僕らの打ち合わせでは本当にふと思いつくまま、色んなアイデアを出し合うんです。僕がひとり籠って考えるだけではなく、相棒(ゆでたまご・中井先生)や担当編集者も様々に自由な意見を出し合って、その中から取捨選択をしてどんどん形にしていく。アイデアが出過ぎて返って混乱してしまう場合もありますが、基本的にはそうして対話をすることで、ますます発想を膨らませていくスタイルなんです」
- まさに共同作業ですね。
「そうですね。もっともそれだけアイデアがあると、インパクト優先で勢いでやってしまって、後で困ってしまうケースもよくあったんですけどね(笑)」
- 具体的には?
「例えばバッファローマンがキン肉バス
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画像: キン肉バスターやぶりの瞬間。6を9に。
キン肉バスター破りを有言実行!その舞台裏ではゆでたまご先生に様々なドラマが!!
ターを破る場面。あれは実際に技を破る数週前に、勢いでバッファローマンに技の攻略を宣言させてしまったんです。でもその時点では、どうやって破るのか方法までは全く考えていなかった(笑)」
- 6をひっくり返すと9になる、というアレですね。
「あれは相棒のアイデアですね。僕が困り果てて絵を見ている最中に、相棒がふと言ったんです。この絵、逆さまにすると技の掛け手が受け手になるな……って。それやっ!と心の中で叫びました(笑)」
- 見事なキン肉バスター破りでした。
「当初は、来週の自分が頑張ってくれるだろうと思ってたんですけどね(笑)。なんとかなってホッとしました」
ウォーズマンの「100万パワー」があらゆる超人強度の比較基準だった!?
- ところでこのシリーズで初めて「超人強度」という概念が登場します。あの発想の原点はどこに?
「強さを示すためには、数値化するとわかりやすいんではないか、というのが最初に思いついたところでした。とりあえずバッファローマンの持ち味をわかりやすく示したかったので」
- 1千万パワーの衝撃は絶大でした。
「彼のキャラクターをしっかりと描き始めたのは、まさにそこからです。とりあえず対戦相手であるウォーズマンの10倍くらいは欲しいな、と。それでまずウォーズマンを100万パワーにして、それで彼を1千万に。その後でキン肉マンなら95万辺りかなとか、ラーメンマンなら97万くらいだろうとか、考えていきました」
- では初期の超人強度の設定基準は、ウォーズマンとどれだけ差がありそうか、というところにあったんでしょうか!?
画像: 超人強度1000万パワーを明かす。
ここで初めて「超人パワー」という言葉が登場。同時にバッファローマンのキャラが確立された!!
「そういうことになります」
- その後はブラックホールが200万パワーですとか、本編に出ていないところでどんどん設定が公表されていきました。
「さっきの場面で本編に数値が登場した超人以外は、ほとんどシリーズ終了後の後付けです。それぞれ数値があった方が面白いと思いまして。で、それ以降は定期的に設定していくようになりました」
- ところで後のストーリーでは1千600万パワーですとか、信じ難いパワーの超人が多数出てきます。これは一体?
「やりすぎましたね(笑)。なのでその反省から『II世』では押さえ目に設定しているんですよ」
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『闘将!!拉麺男』がなければモンゴルマンは誕生しなかった
- 一方、このシリーズ後半でのキン肉マン側の超人に目を移すと、やや遅れてモンゴルマンという重要なキャラクターが登場している。ファンなら誰もが知るように、その正体はラーメンマンなのであるが……なぜ彼はモンゴルマンとして登場せねばならなかったのか。そこには先生の大きな考えがあった。
「本当のところはシリーズ後半の助っ人として、ラーメンマンを出したい、ということを常々考えていたんです。ところが当時はフレッシュジャンプという雑誌で『闘将!!拉麺男』という連載をやっていまして。それで同じ超人がふたつの異なる世界観の作品で、同時平行で登場するのはよくないと思って、それで躊躇していたんですよ」
- それは例えば、TVのタレントさんが同じ時間帯の裏番組には同時出演しない、というようなところを連想させますね?
「まさにそういうことです。決して両作品の編集部から特に何か言われたわけでもなかったんですが、僕の個人的な方針として。しかしそれでもなお、ラーメンマンが出したかったんです(笑)。正直なところ、彼以外に適役が思い浮かばなかったのも事実でしたし。それで苦肉の策として思いついたのが、モンゴルマンというマスク超人だったんです!」
- それにしても読者の99%はずっと、モンゴルマンはラーメンマンだと思っていたと思われますが?
「モンゴルマン本人はそれを否定し続けるところに、彼の奥ゆかしさを感じてください(笑)」
- なるほど。ところで彼の登場でタッグ戦に突入しましたが、最後の試合をタッグで、というのは前から想定されていたんでしょうか?
画像: モンゴルマンの名乗り。
ブロッケンもテリーもラーメンマンだと思ってるクセに!あえて気付かないこの優しさ!!
「ええ、それはその前の段階から考えていました。なのでバッファローマンのパートナー用にスプリングマンを生かしておいたんです」
- スプリングマン…ですか?
「バッファローマンと組むのは小柄なヤツがいいと思っていましたので。往年のプロレスでいうとブロディ & スヌーカ組のような。凸凹コンビが好きなんです」
- それで見事、そのスプリングマンを彼は退治して去るわけですが、後のタッグ編でもやはりモンゴルマンのままで登場しています。つまりはこれも、当時まだ『闘将!!拉麺男』が連載中だったから?
「ええ。その後の「王位争奪編」での復活まで、ずっとモンゴルマンであり続けたのはそう言う理由なんです(笑)」
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バッファローマンは改心しない可能性もあった!?
画像: バッファローマンの傷が移動し驚くキン肉マン。
そんなアホな!だがこれに説得力を与えるのがゆで節だ!!
- 最終的にストーリーはキン肉マンとバッファローマンの一騎打ちに。今や伝説となったこの大一番では、先のキン肉バスター返しをはじめ、様々なアイデアが盛り込まれる、見どころ多い試合となった。
「かなりメチャクチャしましたけどね。体の色が変わったり、体重が変動したり、傷が移動したり(笑)」
- 体中の傷がツノに集合して、ツノ自体が長くなる……というのはよく考えると不思議なのですが、それを気にせず読ませてしまう吸引力がありました。
「あれはさすがに自分でも描く時、どうかと迷いましたけどね(笑)。でもこの試合は全て勢いでやってしまおうと。作業の中にそういうパワーがありました」
- 身体の色が赤くなる、というのは迫力がありましたね。
「あれは当時、赤と黒の2色ページで掲載されることが多かったので、映える色なら赤かなと。なのでもし4色で描くという状況だったなら、異なる色になっていたかも知れません」
- 死闘の末、改心したバッファローマンの姿は大きな感動を呼んだ。しかし、これは必ずしもそのような展開になるとは限らなかった……と先生は振り返る。
画像: ミートの頭を間一髪救ったのはバッファローマンだった。
今後のバッファローマンへの期待感が高まった名場面
「このシリーズが始まった当初は、僕個人的にはバッファローマンは悪魔のままで終わってもいい、と思っていたんですよ。ところが当時の担当編集者と話をしている中で、彼がふと言ったんです。バッファローマンって絶対にいいヤツだと思うんだよな、と。その言葉がずっと頭に引っかかって悩みまして。それで、結論としては改心させることにしました」
- ウォーズマンを倒して去るときのセリフ辺りから、その片鱗が見えますね。
「ええ、ちょうどその頃でしたね。彼を後に改心させようと決断したのは」
- 結果として正義超人入りし、後々まで重要なキャラクターとなりました。
「彼を悪魔のまま終わらせていたら、その後の展開は確実に違ったでしょうね」
関連項目
- 7人の悪魔超人編
- 「運命の選択肢」シリーズ
- 第1回超人オリンピック編
- アメリカ遠征編
- 第2回超人オリンピック編
- 7人の悪魔超人編
- 黄金のマスク編
- 夢の超人タッグ編
- キン肉星王位争奪編